50代で動き出した絵本の夢──AI と描いた 12 ページ
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沢井さんは 52 歳、都内で事務職をしながら、大学生になった娘との二人暮らしを送っている。20 代のころ、絵本作家を志していた。美大を出て、小さな出版社でイラストレーターのアシスタントをしながら、自分の作品を持ち込んでいた時期もあった。
けれど結婚、出産、離婚を経て、気づけば「絵本を描く時間」は生活の中から消えていた。娘を育てるための仕事、家事、PTAの役員、習い事の送り迎え。スケッチブックは押し入れの奥に眠り、いつしか「諦めた夢」のリストに入っていた。
2026 年 1 月、友人がSNS にシェアした記事が目に留まった。「対話型 AI で絵本を作った 60 代女性」という見出し。半信半疑で読み進めると、その女性は絵を描く技術がほとんどなかったという。それでも、AI にストーリーを相談しながら、画像生成ツールでビジュアルを作り、3 ヶ月で自費出版までたどり着いていた。
「私にもできるかもしれない」
その夜、沢井さんは 25 年ぶりにスケッチブックを開いた。ページには、娘がまだ幼稚園だったころに描いた「森のうさぎ」のラフが残っていた。主人公は、誰とも違う模様を持つうさぎ。周りと違うことに悩み、やがて自分らしさを受け入れるまでの物語。
当時は絵が間に合わず、物語だけが中途半端なメモで終わっていた。「これを、今なら完成させられるかもしれない」。翌朝、沢井さんは対話型 AI のアカウントを作った。
最初の 1 週間は、AI との対話でストーリーを固めることに集中した。25 年前のメモを読み上げ、「このうさぎの名前は何がいいか」「どんな森に住んでいるのか」「クライマックスのセリフはどう表現すべきか」と、まるで編集者と打ち合わせをするように進めた。
AI は沢井さんのアイデアを引き出し、整理し、選択肢を提示してくれた。「この展開だと読者は何歳を想定しますか?」という AI の質問に、沢井さんは「4〜6 歳」と答え、そこから語彙や文章のリズムを調整していった。
2 週目からは、画像生成ツールを使い始めた。最初は思い通りの絵が出ず、何度も指示を調整した。「森の奥に、紫色の模様を持つうさぎが佇んでいる。優しい光が木漏れ日のように差し込む」といった具体的な描写を入力すると、徐々にイメージに近い絵が生成されるようになった。
ただし、生成された画像をそのまま使うことはしなかった。沢井さんは出力された絵を下絵として、タブレットで色調を調整し、表情を描き足し、背景の細部を手描きで仕上げた。「AI が 70%、私が 30% という感じ。AI が描けない『温度』を、私が足していく」。
3 ヶ月目、ついに 12 ページの初稿が完成した。見開きごとに物語が進み、最後のページでうさぎが自分の模様を誇らしげに見つめる場面で終わる。娘に見せると、「お母さん、すごい。これ、ちゃんと絵本だよ」と言われた。
沢井さんは現在、地元の小さなギャラリーで開かれる「自主制作絵本展」への出展を準備している。完成した 12 ページを製本し、数十部を印刷する予定だ。出版社への持ち込みも視野に入れているが、「まずは誰かに読んでもらうことが目標」と話す。
AI と一緒に作ったこの絵本は、沢井さんにとって「諦めたものを取り戻す証明」になった。25 年前、時間と技術の壁に阻まれて止まっていたプロジェクトが、2026 年の AI の力を借りて動き出した。
大切なのは、「完璧な技術」ではなく「動かし始める勇気」だった。AI は絵を描いてくれるが、物語の核心や、そこに込める想いは、やはり人間にしか生み出せない。沢井さんの絵本には、52 年間の人生と、娘との記憶と、25 年越しの「やっぱり描きたかった」という気持ちが詰まっている。
AI を使うことで、技術的なハードルは下がった。でも、それ以上に大きかったのは「もう一度やってみよう」と思えたこと。その最初の一歩を、AI が後押ししてくれた。
もしあなたにも「いつかやりたかったこと」があるなら、今が動き出すタイミングかもしれない。AI は、あなたの「いつか」を「今」に変える道具になる。HAIIA の 3 つの軸 が示すように、AI は自己実現のパートナーとして、あなたのそばにある。
はい。生成 AI を使えば、文章で指示するだけで画像を作成できます。ただし、沢井さんのように「自分らしさ」を加えるために、出力された画像を編集する工程を入れると、より温かみのある作品になります。絵が苦手でも、AI が 70〜80% を担ってくれるため、ハードルは大きく下がっています。
生成 AI が出力した画像をそのまま使う場合、サービスの利用規約を確認する必要があります。多くのツールは商用利用を認めていますが、条件がある場合もあります。沢井さんのように、AI 出力を下絵として自分で加筆・編集すれば、より明確に自分の著作物として扱えます。不安な場合は HAIIA の認定資格 で AI 活用の基礎を学ぶのも一つの方法です。
遅すぎることはありません。沢井さんは 52 歳で再スタートし、3 ヶ月で形にしました。AI は年齢に関係なく、あなたのペースに合わせて伴走してくれます。大切なのは「やってみたい」という気持ちと、最初の一歩を踏み出すこと。もし一人で始めるのが不安なら、仲間募集 から同じ志を持つ人とつながるのも良いでしょう。
この記事は HAIIA Notes からの転載です。